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晩秋の室津漁港クルージング(2)

【工事中の新岸壁に仮留したAeolus】
【工事中の新岸壁に仮留したAeolus】

晩秋の室津漁港クルージング(2)

〈「干潮時、ヨットが宙吊りにならないように」とのアドバイス〉

 30分近く室津湾近辺で右往左往して、結局、室津漁港までの所要時間は西宮BPから8時間を要したことになります。

 室津漁港にはプレジャーボートやヨットの桟橋設備はないため、室津漁協に岸壁使用の許可が必要です。

 室津漁港の室津湾を隔てた西側の海岸に、海宝海の駅があり、一本桟橋があるようですが、今回は時間の関係で立寄れませんでした。

 室津漁協への事前の電話確認では、漁港の西側に給油倉庫(タンクが見える)がありその岸壁の西の端を使用するようにとの話でしたが、その辺りは岸壁からの釣り客が糸を垂らしており、接岸は無理でしたので、そこから室津湾の奥の方(北側)に直角に伸びた工事中の新岸壁に仮留した。

 早速、私は服部さんと共に岸壁使用の許可を得るため、室津漁協に向かった。途中、営業時間が9時~16時まで(土曜日は15時まで)の出光の給油倉庫に寄り、帰りの補給ガソリン30Lを4時までに貰いに行くことを予約して、室津漁協に行った。

 室津漁協では、気さくな組合長さんにお会いして、万が一の事故もあるので船中泊を条件に新岸壁の使用を了解してくださった。

 また、桟橋ではなく岸壁ですので、もやいロープに余裕を持たせ「干潮時、ヨットが宙吊りにならないように」とのアドバイスも頂いた。

 それと、「どこか食事をするところが無いか」を組合長さんに聞くと、「『まるよし』に行ったら新鮮な魚を料理してくれるから」との話であった。

 われわれはわが艇に戻り、板状フェンダーの上から円筒状のフェンダーも4個ぶら下げ新岸壁に、もやいロープを1m位たるませて横づけ係留した。

 天気予報は一週間前から「16日は晴れ時々曇り、17日の土曜日は曇りのち雨、18日は晴れ時々曇り」と報じていたし、今日になっても予報は変わらなかったので、「もし、明日(17日)が雨なら帰港を一日延ばし18日にしよう」と服部さんと相談していた。

 燃料は往路50Lを用意したが、実際は35L位使用したため、残15Lです。それに給油倉庫で30L購入して復路に充てる予定です。

 

【夕方、漁港に帰って来た底引き網漁船】
【夕方、漁港に帰って来た底引き網漁船】

〈室津の海鮮料理を満喫しました〉

 室津漁港の夕方は、明日が雨の予報のせいか、ことのほか夕焼けが綺麗で、その夕焼けの中を、今日は豊漁だったのでしょうか?後ろにカモメを引き連れた、底引き網漁船が夕日に照らされながら漁港に帰ってきました。

 私たちは日が暮れてから、雨が降り始めたなかを、夕食に組合長お勧めの「まるよし」に向かった。途中の牡蠣の加工工場ではシーズンを迎えた養殖牡蠣の加工作業が遅くまで続いていた。

 「まるよし」は生け簀の横にカウンターと4~5人用の小部屋3~4部屋と奥には大小の宴会用の部屋もある、落ち着きのある料理屋でした。

 われわれは「室津おまかせ料理」を注文しました。刺身あり、煮付けあり、天ぷらあり、伊勢海老あり、茶碗蒸しあり、にぎり寿司ありの大変豪華な海鮮料理で、室津の海鮮料理を満喫しました。特に魚の煮付けは「がしらの煮付け」でしたが、“だし”が京風の薄味で大変美味しかったです。

 店を出る頃には雨も本降りとなり、ほろ酔い気分で、足元に気をつけながらわが艇に帰りました。

 

〈おばさんの焼く、アツアツのお好み焼が美味しかった〉

 翌日、5時頃には目を覚ましました。雨は降り続いているようです。ラジオを付けて天気予報を聞くと、やはり終日雨のようで、風雨波浪注意報も出ているようです。やはり帰港は一日延ばし、今日は室津の町並みを散策することとしました。

 朝食は船内で「どん衛きつねうどん」と「薄皮粒あんパン」で、昨晩の御馳走との落差を身に沁みながらの朝食でした。

 お昼は昨日お好み焼き屋を見つけたので、そこに行ってみることとしました。時刻は1時前、店では、おばさんが一人汗だくで鉄板の前で、お好み焼や焼きうどんなどを作っており、いい匂いが漂っていました。店内には一段上の座敷の上がり縁に4~5人の客が腰かけて待っていました。「お好み焼ちょうだい」と私がおばさんに声を掛けると、「順番じゃけん、30分ぐらいかかるよ」「急ぐんだったら、よそへ行ってよ」との、ぶっきらぼうな返事でした。「お好み焼きを食べに来たので急げへん、時間は十分あるよ」「ここに座っていいかな」と私は言って、私たちは一段上の座敷に靴を脱いで上がり、奥のテーブルに座った。

 服部さんが壁に貼ってある値段表を見て「えらい安いな、よそではこんな安い値段ないよ」というと、おばさんは「食べてみんと、安いか高いかわからんやろ」と答えた。

 20分位経って、どこかの職場の昼食用なのだろうか、10人前位のお持ち帰りの一人の客が終わると、先に待っていた二人の女性と一人の男性とわれわれ二人は、おばさんが焼いている鉄板の前に椅子を並べて座り、それぞれの注文が焼きあがるのを待った。

 私は豚入りお好み焼と豚入り焼うどんを注文し、服部さんはモダン焼きを注文したが何れも大変美味しかった。お好み焼きは、生地を延ばして焼き、その上に予め焼いた豚や野菜を載せて、生地で包む調理方法であった。

 

【室津海駅館と民俗館】
【室津海駅館と民俗館】

〈少し小降りになった晩秋の室津の町を散策〉

 私たちは、お好み焼屋を出て、少し小降りになった晩秋の室津の町を散策することとした。

 室津の町には、たつの市立の「室津海駅館」と「室津民俗館」があり、何れも江戸時代の豪商の屋敷を利用した建物で、それぞれたつの市と兵庫県の指定文化財に成っています。

 「室津海駅館」では現在、NHKで放映されている「平清盛」にちなんで、平清盛が瀬戸内海流通システムに先鞭をつけ、室津がその当時から瀬戸内海交通の要衝の港であったため、「平清盛と西海の海」と称しての特別展を開催していました。

 また、「室津民俗館」は屋号を「魚屋」といい、江戸時代には姫路藩の御用達を務めた豪商豊野家の遺構で、室津の代表的な大型町家です。

 見学の途中から兵庫県の吉川辺りからの年配の団体客も加わり、平清盛の話や昔の豪商の漁具や家具や建物に感心したり、同行者に説明したりしていました。

 

【室津の養殖牡蠣】
【室津の養殖牡蠣】

〈焼き牡蠣、その美味しいこと、実に海のミルクの如し〉

 われわれはわが艇に帰る途中で、水揚げした生牡蠣の加工工場の隣にある海産物の土産物売り場に立ち寄りました。私は殻付きの生牡蠣を1kg(800円)とイワシの干物を購入しました。

 販売していたおばさんの話では、殻付きの生牡蠣は、乾燥を極度に嫌うため、乾燥しないように濡れ新聞で包みその上からレジ袋に入れて渡されました。そして、「帰ってからも冷蔵庫には入れないで、暗所に保管してください。また、焼き牡蠣はそのまま殻ごとアルミホイルで包み焼いてください。味は海水で洗っているので、そのまま焼いてください」との話でした。

 帰宅後ただちに殻付きの生牡蠣をアルミホイルに包み焼いてみました。「その美味しいこと、実に海のミルクの如し」といわれる訳が分かりました。

 

【西宮への帰途時、明石海峡大橋を通過(対岸は垂水の町並み)】
【西宮への帰途時、明石海峡大橋を通過(対岸は垂水の町並み)】

〈西宮BP帰港は17:45でした〉

 翌日、18日の日曜日、わが艇は9:00に室津漁港を出港して、西宮への帰途につきました。天気は晴れ時々曇りで、瀬戸内海にも波浪注意報は出ていました。波は少し高いようです。

 鞍掛島南側横を10:30頃通過、風が出て波の高くなった明石海峡大橋を14:15頃通過【東向き転流14:37】、神戸スカイブリッジを16:15頃通過、暗くなりわが艇は点灯して阪神港の赤灯台を17:15頃通過、西宮BP帰港は17:45でした。

 

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コメント: 1
  • #1

    観城 勝実 (土曜日, 15 12月 2012 12:00)

    実に食欲をそそるレポートでした。天候が今ひとつだった様ですが今後も面白い情報を聞かせて下さい。