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室戸岬港・和歌山マリーナシティ クルージング(その1)

【KAZI 2017-12「長距離航海の技術」に掲載されたイラスト】
【KAZI 2017-12「長距離航海の技術」に掲載されたイラスト】

《その1 室戸岬港クルージング失敗記》

 

私たちのクルージングはこれ迄、瀬戸内海を中心とする13泊程度のクルージングで、宿泊は民宿や旅館がほとんどで、船中泊は最近ほとんどしなくなりました。

宿泊が民宿や旅館の場合は予約が必要ですから、おのずと予定通りのクルージングを強いられ、機走や機帆走が主体となります。

私たちは将来沖縄までヨットで行きたい、沖縄のサンゴ礁とその青い海に私たちのヨットを浮かべたいとの夢があります。

その夢に一歩でも近づくためには、長距離の航海術を習得する必要があると思っていた頃、201711月号から雑誌「KAZI」に青木洋氏の「長距離航海の技術」が連載され始めました。私たちはその記事を毎月貪るように読みました。

青木洋氏の持論はセーリングヨットでのクルージングは基本はセールで走る、帆走だということです。船内機や船外機はヨットにとって補助的なもので、港内や航路や非常時に使用するものとの考え方です。また、風による帆走はエンジンよりも時に強力であり、この風の力を利用しない手はない、とも言っています。

青木氏は連載記事で西宮港から室戸岬沖、足摺岬沖、都井岬沖を経て屋久島までの長距離航海計画を、第1レグ西宮~室戸岬、第2レグ室戸岬~足摺岬、第3レグ足摺岬~屋久島と3分割して詳細に記述しています。

 

私たちは手始めに青木氏の第1レグを実際に実行するため、西宮港~室戸岬港~和歌山マリーナシティ~西宮港の3泊4日(10/1720)のクルージングを計画しました。

 

青木氏の第1レグは早朝西宮を出港して24時間16分かけて無寄港で翌朝室戸岬沖に到達する計画です。私たちがこの計画を実行する際、懸念される問題は悪天候と夜間航行の経験不足です。

悪天候の場合は航程中に避難港を洲本サントピアマリーナと徳島県阿南市の伊島漁港を設定しました。

また、夜間航行ですのでクルー3名中交代で、常時2名がWATCHし、1名が1時間毎に休憩することとしました。

それに、航程中の友ヶ島水道の潮流(10/17 13:30通過予定時、南へ2.7knt)を考慮して西宮を早朝7時に出港することとしました。

天気予報は10/17西宮出港時は雨、北の風3m/s、友ヶ島水道通過時は雨のち曇り、北東の風3m/s、伊島灯台東通過時は曇り、北の風2m/s、波2m(うねり伴う)、10/18室戸岬通過時は曇り、東北東の風8m/sでした。

 

10/17 6:45(予定7:00)西宮BP出港、天候は小雨、風は北の追い風34m/s、波0.51m程度でジブのみ揚げて56kntの機帆走。

 

10/17 12:30(予定13:55) 友ヶ島灯台北で変針、徳島県阿南市伊島東沖を目指す。

友ヶ島水道通過時、天気予報は午後から雨が止むとのことでしたが依然小雨が続き、潮流は南にmax2.7knt、また徐々に北風が強くなり、風は89/s、波1.52m、よって船速はmax8.1kntを記録。

 

伊島に近づくにつれ雨は依然止まず風910m/s、波23mと強くなり、このまま明朝到着予定の室戸岬港への直行は無理と判断して、伊島漁港に避難することとした。

 

10/17 17:00伊島漁港着岸。予定では伊島東沖通過は20:22(船速4.5kntの場合)でしたから、3時間半以上も速く伊島漁港に着岸したこととなります。友ヶ島水道での南への潮流には上手く乗れたが、それと共に風雨が強く、波も高くなり、室戸岬港直行を断念しました。

 

【次回に続く】